DanLife > 薪ストーブの基礎知識 > 使い方が間違ってると怖い?薪ストーブの使い方をやさしく解説
薪ストーブを手に入れたばかりの方、もしくは今後導入を考えておられる方にとって一つの不安要素は上手に薪ストーブの火を扱えるかどうかという点だと思います。薪ストーブの使い方には少しコツがいることもありますが、そのコツを体得することまでもがなんだかワクワクしますよね!
ゆらゆら揺れる火を眺めながら日のはぜる音を聞く時間は何よりも癒しの時間だと思います。そんな優雅な時間を永く楽しむためにもきちんとした正しい使い方を最初からマスターしていきましょう。
ここでは事前準備から消火まで薪ストーブの使い方における重要なポイントを手順を追って説明しようと思います。
設置受け渡しが完了したらとうとう火入れです。しかし、薪ストーブの使い方としてはいきなり火をつけるのはナンセンスです。安全面の点検、用具の準備、そして薪ストーブを永く使うために重要となる慣らし運転をする必要があります。
薪ストーブを安全に使用するための注意点が大きくまとめて2つあります。1つ目は周辺に燃えやすいものがないか確認することです。火災や低温炭化の原因となるためです。家具の位置が薪ストーブと近かったり、薪ストーブのすぐ上で洗濯物を乾かしたりする使い方は非常に危険なので避けましょう。
2つ目は乾燥した薪以外を燃やさないことです。高温で燃え上がったり、有毒ガスを発生させる原因となるためです。ひいては本体や煙突を損傷する原因になってしまうため、なんでも燃やしていいという使い方は非常に危険なので注意しましょう。
薪ストーブを運転させるために必要なグッズはグローブ、ファイヤーツール、非消し壺、ログラック、温度計(サーモメーター)、ガラスクリーナー、着火用ライターの8つです。
この中でも特に重要なのはグローブと温度計です。薪ストーブは非常に高温になるため、やけどの危険があります。薪ストーブの作業は前腕部をやけどすることが多いので肘までをカバーしてくれるロングタイプをお勧めします。
温度計は薪を火室に入れたり空気調節のタイミングを判断するために使います。そのほかのグッズも必要不可欠であったり作業を便利にしてくれたりしますが、最初からすべてそろえる必要はありません。必要に応じて揃えていくのもありです。
薪ストーブは鋳鉄や鋼板などの熱に強い素材でできているといっても新品であると高温に対してなじみがありません。新車を走らせるときにエンジンを高速回転させずに徐々に慣らしていくように、薪ストーブも徐々に本格始動へ向けて本体を鳴らしてあげましょう。
これは最初だけではなく長く使用していてもシーズン初めには行う儀式のようなものなのでこれから長い付き合いになる薪ストーブのためにも正しい使い方として心得ておきましょう。
慣らし運転を終えたら本格運転の開始です。ここでは大切な作業である着火について最も基本的なやり方を説明するのでマスターしましょう。
薪への着火は熱の伝導とドラフト(上昇気流)を利用します。
そのためにまずは火種を作って火を育てます。着火剤などの火種となるものに火をつけ、次に割りばしのような細い木などに火を移します。この要領で段々と太めの木を継ぎ足していき、大きな火種を作ります。
火種が大きくなってきたら、太めの薪を井桁に組んだり、円錐状に組んだりして火を移していきます。
小さな火を使って燃えやすいものから段々と投入し火を大きくするという非常にシンプルな手順ですが、熱をうまく伝導させるためにはコツがあります。それが上述したの薪の組み方です。
これによって薪と薪の隙間を作り酸素の通り道が自然とできドラフトが起きるため、非常に火が大きくなりやすくなります。着火は薪ストーブの使い方の基本なので必ず覚えておきましょう。
薪ストーブの温度が300度程まで上がれば空気をほとんど入れなくても燃え続ける状態があります。これをオーロラバーン(燻焼)といいます。(二次燃焼方式のストーブの場合)オーロラバーンの状態で燃やすのが正しい使い方なのでこの状態を目指しましょう!この燃やし方を覚えると、少ない薪で高温をキープしながら長時間燃やし続けることができますよ!
上記のやり方でやってもうまく火が付かないときは煙突が冷えていることが原因となっている可能性があります。薪ストーブの設置の基礎知識ページでも紹介しておりますが、薪ストーブは煙突の上部と下部の温度差によって大きなドラフトが発生します。そのため、ドラフトを生み出すために火室の上部(煙突と本体の結合部分)に火をつけた着火剤や薪を近づけて煙突を温めてみましょう。
煙突の下部が温められることで上部との温度差が生まれ、自然なドラフトが生まれやすくなります。火室に近づけた日が煙突側に吸い寄せられていったらドラフトが発生したサインです。もう一度最初から着火してみましょう。
これでもうまくいかない場合はそもそも薪が湿っている場合があります。しっかり乾かさないと薪はうまく燃えてくれないので薪が適切な状態になっているかどうかの確認をしてみてください。
薪ストーブは消え方も緩やかで時間を要するものです。当たり前の話ですが、間違っても水をかけたりしてはいけません。火の揺らめきを見るようにゆっくりと消火に当たってあげてください。最後に消火の手順から消火後の灰の処理に至るまでの使い方を簡単に説明していこうと思います。
薪ストーブは本体の蓄熱性の高さによって火が消えた後になってもしばらく暖かいので消火=暖房ストップにならないのが薪ストーブの特徴です。薪ストーブの消火とは、薪の供給をとめ、酸素の供給をとめることで自然と火が消えていくことを指します。一般的な密閉型の薪ストーブの場合、薪をくべることをやめて、ドアを閉めていれば特に何をする必要もありません。
最初はそのまま放置することにためらいを覚えるかもしれませんが、全く問題ないので気にしなくても大丈夫です。早く消火したい場合は、ローディングドア、灰受け、ダンバー、エアーコントロールなど、吸気場所を閉じて火室内の空気の流れをなくし、酸欠状態にしてください。すると自然に火が消えます。
一方、下位方式の薪ストーブの場合は火室にローディングドアがなく、酸素の供給を断つことはできないので、薪をくべるのをやめて燃やし尽くしてしまいましょう。なるべく熾火になっているものを砕いて散らすと早く燃え尽きます。
薪ストーブの使い方における重要なポイントを事前準備から追って説明してきました。一見薪ストーブの使い方を覚えるのは難しそうに見えてしまうかもしれませんが、シーズン中は毎日つけることになるのでコツをつかむことはそんなに難しくないと思います。一番重要なことは適切な使い方をしてあげることです。
上述しましたが、薪ストーブは焼却炉ではありません。無理な使い方をしてしまえば、長い間お世話になれなくなってしまいます。薪ストーブが与えてくれる優雅な時間をいつまでも満喫できるように使い方には思いやりをもって上げましょう。